denden's 山紀行

山と自然を愛するmont-dendenが綴る山ログ since 2010

下ノ廊下(その3)

山行日:2012年10月19日(金)~21日(日)
ルート:黒部ダム~ロッジくろよんキャンプ地(泊)
    ロッジくろよん~黒部ダム~旧日電歩道~仙人谷ダム~阿曽原温泉キャンプ地(泊)
    阿曽原温泉~水平歩道~欅平

メンバー:mont-denden(ソロ)


14:15 遅めのペースになってしまったが仙人谷ダムに到着。 

IMG_4393.jpg

 
 ダムの上を通って再び左岸に渡るのだが,ダム管理棟手前で右に下りる階段を見逃した。
 管理棟から左に向かう通路があったのでそのとおり進んで行くと、下の写真のはしごがかかっていた。
 これを登ると・・・

IMG_4397.jpg

 失敗失敗,案の定屋根の上だった・・・(^^;
 慌てて正しい通路に戻ると,なんと管理棟内へ入るように案内がある。

 小動物が侵入します。ドアは必ず閉めてください。と書いてあった。
IMG_4399.jpg

 施設の中の様子。
IMG_4400.jpg

IMG_4403.jpg

 途中で線路を横切る。この線路を写真に撮ろうとしたが,ものすごく温かくて湿った空気が流れていて,カメラを取り出した瞬間にレンズが曇ってご覧のとおり。(下の写真)

 僕が歩いてきたのは地上のルートであり,これを切り拓いた工事関係者の苦労は想像を絶するが,実はこのルートの地下には別に長大なトンネルが掘られているのだ。地図にはそれが破線で描かれている。そして仙人谷ダムと阿曽原温泉の間には高熱隧道との記載がある。

 黒部の電源開発を巡って必ず登場する話が「黒部の太陽」とこの「高熱隧道」だ。
 高熱隧道とは吉村昭氏のノンフィクション小説であり,昭和初期に行われた黒部峡谷のトンネル工事にまつわる当時の現場の様子や人間関係を描いた作品である。
 トンネルを掘り進むにつれ岩盤温度は上昇を続け,その温度はなんと166℃にまで達したそうだ。ダイナマイトが自然発火して大勢の殉職者を出したが,男たちは背中に冷水を浴びせられながら掘り進み,ついにはトンネルを掘り切ったそうだ。なんともすさまじい話である。

 高熱隧道の一角
IMG_4405.jpg

 さらにダム施設内を進む。
IMG_4406.jpg

 ダム施設を出るときつい登り返しが待っていた。
 登りきると,旧日電歩道と同じく水平に切り拓かれた道が続いていて,仙人谷ダムを境にここから欅平までの区間を「水平歩道」と呼ぶらしい。

 阿曽原温泉までは樹林帯が多いが,やはり人工的に拓かれた道だ。  
IMG_4409.jpg

 水平歩道をそれほど歩かないうちに大きな下りに入る。

15:20 青い屋根が見えた。本日の宿泊地である阿曽原温泉に到着!
 予想到着時刻を大幅にオーバーしたが、写真撮影のため時間を要したこと,一本道で追い越しはおろか,すれ違うこともできないほど狭い道が続いたことを言い訳にする。   

 青い屋根が見えてほっとする。
IMG_4412.jpg

 阿曽原温泉小屋は想像していたとおりプレハブだった。
 豪雪のため,営業期間だけ建設するのだから当然なのだ。

IMG_4413.jpg

 受付を済ませ,早速缶ビールを買ってテン場に移動。テン場は小屋から少し下ったところにあった。
 テントを担いで歩く登山者は予想外に多く,テン場はかなりぎわっていた。

 にぎわうテン場
IMG_4415.jpg

 絶景も楽しみのひとつだが,なんと言っても秘湯阿曽原温泉である!
 簡単にテントを立ち上げて,中に荷物を放り込み早速温泉に向かう。  

 温泉はテン場からさらに5分ほど下った場所
IMG_4416.jpg

 さてと・・・ ここで悩みがひとつ。
 それは,山仲間であるm109さんに阿曽原温泉の写真を撮ってきてくれと頼まれていたことだ。
 裸のオッサンばかりが入浴している風呂をどう撮ればよいのか。そーっと撮ったりすれば変なモノとかが必ず写るに決まっている。悩みながらカメラを持って温泉に向かった・・・

 やはり,オッサンたちは堂々としていて写真は撮れない。(笑)

 途方に暮れていると,ある方が「みなさん写真を撮りますよー。」と突然叫んだ!
 慌てた入浴客はドボンと湯船に身体を滑り込ませた。
 チャンス! 僕もすかさずその方の隣に移動する。彼がシャッターを押した後に「もう一枚撮りまーす!」と便乗した。
 
 みんないい笑顔ですネ!
IMG_4419.jpg

 楽しみにしていた温泉だ。僕も周囲を気にせず,すっぽんぽんになって温泉に浸かる。
 いや~,天国とはこのことだ。縦走中の温泉がこれほど気持ちいいとは・・・
 温泉は唯一この露天だけ。2本の太い塩ビ管が通されていて,片方はすぐ横にある高熱隧道へと続く横坑から引く温泉。片方は沢から引く冷たい水だ。
 なので,浴槽内の場所によっては熱かったり冷たかったり・・・
 縦走中にあって温泉の威力をまざまざと見せ付けられたが,それもはかなく短い時間であった。

 小屋で働く方の声が突然鳴り響いた!
 「女性の方々がもうそこまで迫っていますよー。あと5分以内に出てくださーい。」

 こんなときは女性のほうが数段パワフルだ! 男どもを早く追い出して温泉をわが物にしようとしている。
 オッサンたちは慌てて温泉から上がり,身体を拭いてそさくさと退散する。

 そして誰もいなくなった阿曽原温泉。
IMG_4420.jpg

 温泉から上がったので,またまたビールを買いに阿曽原温泉小屋へ。
 看板の隣には何故か釣鐘が・・・

IMG_4425.jpg

IMG_4426.jpg

 昨日はチープな夕食だったので,今夜は豪華に鍋をすることに!
 いつもなら定番のキムチ鍋なのだが,今回は「ホタテと鶏がらのダブルスープ寄せ鍋しょうゆ」にする。
 この前行った安達太良山で,味の素の鍋キューブという商品をm109さんに教わったからだ。

IMG_4427.jpg

 野菜は別メニューでも使う予定だったので三人前くらい持ってきた。今後は使う予定がないので全部食べてやる! うまそう。はふーっ! ライバルは斜め前テントのおでんだ。(笑)
 当然シメもやった(メシを入れて玉子でとじる)ので,腹がぱんぱんになってしまった。

IMG_4428.jpg

 昨夜と同じくダウンの上下を着込んでシュラフに潜りこんだが,ウイスキーをちびちびやっていると暑くなって上下とも脱いでしまった。今日はよく歩いたな。明日も晴れますように・・・快眠ZZZ


<最終日>

4:00 起床 最終日である。下山するだけでなく電車やバスを乗り継いで家まで帰らなければならない。
 朝食に「マルちゃん正麺」を食べて荷造りをし,明るくなるまで待って 5:40出発
 
 まず,昨日と同じ高さと思われる水平歩道の続きまで登り返す。最初は樹林帯歩きだ。

 木々の隙間から阿曽原温泉が見えた。
IMG_4430.jpg

 昨日と同じような水平歩道が続く。
IMG_4439.jpg

7:00 折尾谷の滝
IMG_4445.jpg

 離れた場所からの折尾谷の滝,水平歩道の下にも滝が延びておりカッチョええ!
IMG_4466.jpg

 頭をぶつけないように・・・
IMG_4474.jpg

 ちょっと怖し!
IMG_4475.jpg

 遠目からだと,ものすごく怖し!
IMG_4477.jpg

 歩き始めて2時間ちょっと。またまた大岩壁の出現に目を見張る。
 今度は,奥鐘山西壁-黒部の怪人-黒部三大岩壁だ。
 黒部三大というか,案内板には日本最大級と書いてある。黒部ってホントにすごい。

 奥鐘山西壁
IMG_4479.jpg

 まだまだ続く水平歩道
IMG_4480.jpg

 本当に水平!
IMG_4488.jpg

 水平歩道が突如トンネルに突入! 入口には「トンネル内,照明必要」とある。
 ザックからヘッドランプを取り出して中に入る。 

IMG_4492.jpg

 ヘッドランプの光に,岩石に含まれる金属片?がキラキラと反射してとてもきれいだった。
 試しにヘッドランプを消してみると真っ暗で何も見えない。
 
IMG_4496.jpg

 トンネルの長さは150mほどもあった。
 足元には水の流れもあり,ヘッドライトなしでは本当に通過不可能。

 トンネルを出たところから撮った,トンネルに入る前の水平歩道。
IMG_4501.jpg

今度は短めのトンネル。
IMG_4504.jpg

 またまた頭上注意。 
IMG_4505.jpg

 このあたりの色づきは,まだちょっと早かった。
IMG_4508.jpg

 またしてもトンネル。
IMG_4509.jpg

 水平歩道が樹林帯歩きに変わってしばらく歩くとと送電鉄塔の足元に出た。
 広いので一休みしていると1組のカップルがやってきた。
 「欅平までどのくらいかりますか?」と尋ねると,
 「あとは下るだけなので30分もあれば着くと思います。」とのこと。
 これを聞いて,トレッキングポールを取り出して下りに備えた。
 (旧日電歩道や水平歩道ではポールは不要)

 お!,あれはもしや欅平?
IMG_4513.jpg

09:50 欅平に到着。
 うーん,トロッコ電車も乗ったことがないので楽しみではあったが,大勢の観光客がいて「下界に戻ったか・・・」みたいな残念さはちょっとある。(笑)

10:01発のトロッコ電車に乗る。
IMG_4526.jpg

 トロッコ電車の案内放送は室井滋さんの声で,独特の語り口が楽しかった。
 彼女は富山県の出身だったんだ・・・

 トロッコ電車から眺める景色も素晴らしかったけれど,下ノ廊下を縦走してきた身としては魅力半減なのもいたしかたない・・・(汗)

IMG_4531.jpg

 宇奈月に到着し温泉を探しに歩いていると,このオジさんを発見!
 のぼりには「私はテレビ・で有名な自転車で岩魚売るおじさんでぇ~す」って書いてある。(汗)
 ホントに有名人なの? イワナは買わなかった・・・

 有名人だから顔にモザイクとか入れないよー。
IMG_4549.jpg

 JR宇奈月温泉駅 噴水は温かく本物の温泉だった。
IMG_4550.jpg

 駅前通りの魚屋のおばあさんに教えてもらった温泉で汗を流す。
 脱衣所で,白竜峡で前を歩いていた若者に気付いた。
 僕「前を歩いていた方ですよねー?」
 彼「追い抜いていった方ですよね。グレゴリーのバルトロで覚えていましたよ。」
 彼は,バルトロが欲しく悩みまくっているとのこと。それで覚えていてくれたんだ。(笑)

 温泉で汗を流したあとは,下山後の最大の楽しみである「まともなメシ」
 いつものことながらカツ丼をかっ込む。もちろん隣にはジョッキ生!

 食べたお店は「お食事 ささや」である。
 店の雰囲気がよい感じだったので紹介してしまう。失礼ながらお年を召した常連客が大勢集まっていて,非常にアットホームな雰囲気。庶民的なメニューが豊富で親しみやすい店だ。ちなみに地階は「喫茶オアシス」がある。

 腹が膨れたので,温泉を教えてくれたおばあさんの店まで戻り,家族へのお土産に鱒寿司を買った。

IMG_4552.jpg

 こうして憧れの下ノ廊下の旅は終わってしまった。
 山頂をまったく通らないルートだが,すごいコースだった。感動した!
 ずっと断崖絶壁の道である。もし足を滑らせたら・・・ もし落石にあったら・・・
 上級者向けの道である感は否めないが,それでもここを歩かないのはもったいない。たしかに白竜峡あたりは怖い場所がいくつかある。でも,仙人谷ダムから下流の水平歩道ならば道幅も広くそれほど緊張感はない。
 例えば,欅平から阿曽原温泉まで行くだけなら,技術的にも時間的にも無理のないコースだと思う。温泉あり,断崖の水平歩道あり,滝あり,黒部三大岩壁あり,お勧めなのでだ。ぜひ行ってみてください・・・

7 Comments

mont-denden says..."Re: タイトルなし"
大阪のおばちゃんに憧れる関東もんはたくさんいますよー(^_-)-☆
温泉には行けませんでした。なかなか大根が煮えなくて(^^;(何のお話し?)
2015.11.03 22:11 | URL | #- [edit]
えれぇこった2号 says...""
がーん(T_T)
やっぱり、
大阪のおばちゃんの本質はどうしても
自然に出てしまうんです(^^;;
温泉には行けたのかしらぁ〜♪
2015.11.02 23:51 | URL | #TmZwqOdg [edit]
mont-denden says..."Re: タイトルなし"
 ほぼ毎晩お酒を飲みながらのんびりとブログとか眺めてますが・・・
 それにしても2号kakaさんパワフルですねー。(^-^; さすが大阪のおばちゃん!!
 マシンガンのようにコメントいただけてとてもうれしかったです。
 次はえれぇこったkakaの珍道中のほうへお邪魔したいと思いますのでよろしくです。

 今週末は、天気が良ければ八ヶ岳の本沢温泉へ行ってきます!
2015.10.26 23:56 | URL | #- [edit]
えれぇこった2号 says...""
露天風呂気持ち良さそうですね!!
ますます行きたくなってきました。
夕飯のお鍋の材料&テント泊装備だとかなり思ったのでは???
トロッコ列車乗ったこと無いので、それもまた楽しみですね。

宇奈月温泉には行ったことあります(((o(*゚▽゚*)o)))

あぁ。。。行きたいなぁ♪
2015.10.26 23:29 | URL | #yl2HcnkM [edit]
mont-denden says..."小説「高熱隧道」"
下ノ廊下を歩いたあとに「高熱隧道」を読みました。
前半の,阿曽原谷横坑で起こったダイナマイト自然発火事故の様子。
後半の,泡雪崩によってコンクリート建ての宿舎が580mも離れた奥鐘山西壁まで吹き飛ばされた話。いやはや,すごいのひと言です!
下ノ廊下に興味がある方はぜひご一読を。
2012.11.05 21:34 | URL | #b7wEJqOo [edit]
mont-denden says..."Re: ありがとうございました!"
いやあ阿曽原温泉,ホント開放感ありすぎ! 脱衣所のない風呂を初めて経験しました。
正確には近くに高熱隧道へ続く入り口があって脱衣所になるかも。だけど,雨宿りくらいにしか使えない?
要するにあの開かれた空間で隠れるところはないです。すっぽんぽんです。(笑)
でも登山道からは見えないのでご安心を。
※午後7時以降は自由(混浴)になります。

あと,書き忘れてましたがテン場のトイレは何と水洗でした。
なので小屋のトイレもたぶんそうだと思います。すごい!!

そうそう,文章の最後のくだりはm109さん宛てに書いたんですよ。(爆笑)
阿曽原温泉小屋は昨日(10月30日)で営業を終えましたが,ぜひとも歩いてみてください。
アップダウンはないけれど,本当に素晴らしいコースでした。
2012.10.31 23:15 | URL | #- [edit]
m109 says..."ありがとうございました!"
阿曽原温泉の写真を撮っていただき、ありがとうございました!
やっぱり山の中の露天風呂は解放感抜群ですね~v-411

紅葉も渓谷美も素敵です☆
高所恐怖症の私ですが、いつかチャレンジしてみたいです。




2012.10.31 21:38 | URL | #- [edit]

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

該当の記事は見つかりませんでした。