2017夏縦走(その2) 高山裏避難小屋~百間洞山の家
<2日目> 2017年7月30日
昨日は、縦走初日なのに雨の中を10時間も歩いて本当に疲れた。
ウイスキー・オンザロックによって寝つきはよかったものの・・・
夜通しザーザー雨に見舞われ、フライを叩く雨粒の音で何度も目が覚めた。
まだ降り続いている暗い朝4時、起き出してテントを撤収する気にはなれない。
もうちょっとシュラフの中に居たい・・・
そんな葛藤にも容赦なく5時になった、もう限界だ!
濡れを覚悟でテントを畳むと意を決す。
朝食のカップヌードルをすすっていると、幸いにして小降りになってきた。
そして出発時には完全にやんでくれた。
5:40 テントを撤収して2日目スタート!
森の中から始まる2日目
いくら雨がやんだとはいえ、レインウェアを着ないことにはパンツがボシャボシャになってしまうのだ。
水を大量に蓄えた新緑の葉っぱ

枝の露をトレッキングポールで叩き落としながら進んでゆく。
高山裏避難小屋から荒川前岳への道は、稜線東側のトラバースが続く。
東を望むと、なんだか晴れそうな予感が♪

濡れた森の中なので葉っぱを撮ろう!これはトゲトゲの葉っぱ

シダ類の葉っぱ

東の空を見上げれば青空が! あのガスがどっかへ行っちゃえばいいんである。

なんとかキンバイ?

森の中を延々と歩いてきたがやがて森林限界に達し、今度はガレ場の登りになった。

目指す荒川前岳はどれだ?

ガレ場の急坂を稜線まで登り詰めると、稜線の西側は大崩壊!
見るからに恐ろしい崩れっぷりである。
振り返ると大崩壊

前を見ても大崩壊、ほーかいほーかい♪

そう、これが地形図とかに書いてある「荒川大崩壊地」だった。
西側が崩れまくった稜線を詰めていくと、おぉ!

9:25 荒川前岳(3068m)に到着!
ここまで4時間弱の行程だったが、何となく気が重い。(汗)
その理由を説明しよう。
本日の出発地である高山裏避難小屋から少し下ったあたりの標高は2370mほどだ。
すると、ここまで来るのに約700mもの標高を稼いだことになる。
計画段階では、こんなに標高差があるなんて想像もしていなかったのだ。
さすがは南アルプス、恐るべし!
そして、この先の荒川前岳~赤石岳間は以前にも歩いたことがあるので、どんなコースか知っている。
そう、これから約450m下って赤石岳までの約500mの登り返しが待っているんである。(大汗)
まだまだ序章の荒川前岳

荒川前岳から東を望むと、当然だが荒川中岳がある。
でも、前にも登ったことがあるので、ここはパァース!
よって、中腹に見える道しるべを右に下るのだ。
荒川中岳(3083m)

イワベンケイ

ピンクの花・・・

荒川中岳と前高が造るカール地形

ここには、広大なお花畑が広がっているのだ♪

初めてここを訪れたときは、本当にたまげました!
こんなにすごいお花畑は見たことがなかった。
久しぶりに訪れた、シナノキンバイとハクサンイチゲのスーパーウルトラお花畑!

お花畑を過ぎて間もなく、灌木帯に囲まれた荒川小屋が見えてくる。
もっと平らな場所にあったような気もするが、人の記憶とはあいまいなものだ・・・
荒川小屋と、バックには赤石岳へと続く稜線

10:45 荒川小屋に到着!
おーし取りあえず下りきった、休憩しよう。
ところが、アブが恐ろしく多い!
ザックを降ろしてお菓子を食べようするなり、おびただしい数のアブが攻撃してくる!
たまらず、虫よけネットで防護対策をする僕。
(前回行った飯豊山で学習したmont-denden)
このっ、あぶ川小屋!!

あぶ川小屋を出ると再び森林限界となり、雪渓が残るアルペン的な雰囲気に。

11:45 大聖寺平 ここで縦走コースを左に分ければエスケープルートになる?

小赤石岳を目指して急坂を登り続ける。

13:10 小赤石岳(3081m)に到着! 景色はダメだった、アウト~!

イワギキョウ?

小赤石岳~赤石岳へ続く稜線 晴れていれば最高なのに~(-_-;)

13:40 南アルプスの盟主、赤石岳に到着した!
中学生になると社会科で赤石山脈の名は習うが、ここを訪れる人はほんの一握りなのだ。

赤石岳山頂の直下には「赤石岳避難小屋」がある。
以前ここに来たときに、雪渓の雪で冷やした冷たいビールやフルーツプリンを食べてとても感動した!
ちょっと寄っていこう♪
なぜか懐かしい赤石岳避難小屋

ここの管理人の榎田さんは、独特の風貌がカッコいい山オヤジだ。
会えるかな?
居た!
僕:百間洞までは2時間くらいですか?
榎:2時間くらいだよ、急がねーとトンカツ食えねーぞ!4時を1秒でも過ぎたら作ってくれねーからなー!
ちなみにこのときの時刻は13:45、彼の手には何故か缶ビールが・・・
いいのかソレ?管理人として!(^^;
赤石岳を過ぎるとガレ場が続く道となる。

トンカツを食うため急ぎ足で百間洞山の家に向かっていたが、間もなく雨が降ってきた。
レインウェアを着る時間が、ものすごいロスタイムに感じる。
(トンカツを食えるかどうかが賭かかっているため)
こうなると、絶対にトンカツを食べなければならない!
という強迫観念に駆られてくる・・・(^^;
そんなことを考えながら歩いていると、ガレ場で単独行の女性に追いついた。
自然と発してしまったかもしれない「道ゆずれオーラ」を感じたのだろうか、お先にどうぞと道を譲ってくれた。
そのとき僕は、「トンカツが食べられなくなるのでスミマセン」
というような訳の分からない挨拶をして彼女をパスした。(^^;
(この女性とは、翌日、聖平のテン場でワイワイやることになる)
雨が降っていたので写真に収めることはできなかったが、百閒平と言われる場所で雷鳥の親子に遭遇した。
雨だと雷鳥に会えるというけど本当だ!(そういえば昨日も雨で雷鳥に会えた。)
百閒平からの下りは長く、その日の終わりの行程としては易しくなかった。
もういいよ、やめてよ!っていうくらい下りが長かった。
そしてようやく見えた山の家!(手前はテン場)

15:30 百間洞(ひゃっけんぼら)山の家に到着! トンカツ間に合ったー!!!

百間洞山の家は、避難小屋とは一線を画したしっかりとした山小屋だった。
今宵の宿泊費を支払って領収証を確認してみれば「市営」とある。
でも、その下に「特種東海フォレスト観光チーム」とあるから、指定管理者として運営しているのだろう。
ところで、なぜこの2日目は小屋泊かというと・・・
南アルプス南部の事情を知っている人はご存知だが、この山域を歩く場合どこかの小屋で最低1泊しないと、椹島へ下山したときに、畑薙第一ダムまでの送迎バスが利用できないのである。
(面倒くさいので理由は割愛。知らない人は自分で調べてね。)
お約束のスーパードライ!(^O^)/

というわけで、無事トンカツにありつくことができた!

夕食のテーブルを囲んだのは、山岳警備隊の方2名と単独行の女性。(追い越した女性とは別の方)
この女性、荒川三山を越えての縦走とのこと。
入山口は異なるが、僕と同じく東京竹橋から毎日あるぺん号に乗ってやってきたそうである。
単独行でこのルートの縦走かあ、女性パワーすごいなあ・・・
トンカツのお味は、正直な感想として下界の有名店とかに遠く及ばない。
でも、スマホの電波が届かないような山奥で、こんなスゲーのが食べられるなんて素晴らしいじゃないか!
そんなトンカツを食べ終わって退席するとき、ふと後を振り返ると、ひとり牛丼を食べている女性がいた!
そう、赤石岳からの下りのガレ場でパスした女性だった。
牛丼を食べる彼女を見て、「ああ言葉足らずだった。午後4時までに入らないと食べられないよ。」と言ってあげればよかったと後悔した。(~_~)
その後は割り振られた自分の寝室に戻り、山専ボトルの中のまだ融けないロックアイスを確認して、ウイスキー・オンザロックを楽しんだ。

同じ部屋には、東京目黒から来たという男性が居て、まだ山を始めて間もないらしく僕の中途半端な経験談をまじまじと聞いてくれ、うれしかった。
だが、明日の行程も長いぜ!
早く寝よう!
オヤスミ・・・